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この小さな町の和菓子屋を中曽根・小泉元両総理が贔屓にしていたことはこの界隈ではちょっと有名な話。しかし店主のおじいちゃんはそんなことをちっとも鼻にかけることもなく、「あの頃はおしるこ300人分とか官邸に持って行ってたんだよ」とか「阿部さんも使ってくんないかねー」と屈託なく話す。そしてその名誉をお値段に上乗せすることもないから、僕らはおいしい生菓子をいつも、安心した気持ちで食べられるのです。
今日、買い物とおしゃべりをして店を出た後にふと振り返って二階部分を見上げた。D.I.Y.で緑色に塗ったと思われる小さなベランダに白い布巾が何枚もきれいに干され、それが踊るようにはためいていた。暮らしと仕事を覗きみるようで無礼だなとは思いながらも、その布巾が、その上に広がる谷中の夕焼け空と合わせて音を出しているみたいにとてもきれいで、ちょっとぼんやりと眺めてしまった。
僕はいい町に暮らしている。暮らしながら、誰かの暮らしも感じられる町に。
和菓子、今日も美味しかったです。ごちそうさまでした。

