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丁字屋のこと。 7 years ago
根津の老舗、丁字屋の解体がとうとう始まってしまった。丁字屋は自宅と旅ベーグルを行きかう通勤路にあるから、もう数え切れない回数、眺めてきたことになる。いつもピカピカのガラスの向こうには季節ごとに額装されたきれいな手ぬぐいが飾ってあった。僕がお店で巻いている手ぬぐいの半分以上は丁字屋のもの。本当にお世話になっていた。

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丁字屋はここ数ヶ月休業をしていたのだけど、とうとう今朝、足場となる鉄筋が店前に運び込まれているのに遭遇してしまった。僕は心穏やかでない一日を過ごした。そして夕方、丁字屋の前を通ると白いシートですっぽりと覆われていた。新しく設えられた工事日程の看板に目をやるとそこには「解体作業」とあった。

この白いシートが外された瞬間に見える風景を想像するとすごく寂しくなる。手品みたいに、100年の歴史だってほんの数日で消えてなくなっているのだろう。かといって、僕にどうにかできるわけもなく、そして正直なことをいうと僕はすごく無責任だから、数年後にはここにあったいつもの風景だってきっと忘れてしまうでしょう。

白いシートで覆われた丁字屋を写真に収めようと思った時に、そのシートの一部が外れているのに気がついた。近づいて見ると、それは「外れている」のではなくて「外している」状態だった。申し訳程度に開いた部分からは、けれども「丁字屋」の看板文字がきれいにはっきり見える。解体工事の棟梁の仕業か、それとも家主の懇意か分からないけれど、僕は何か、正しい気持ちの遣い方に触れた気がして、勝手に感動してしまった。そして、丁字屋のことはこれまで忘れてきた多くの思い出の建物よりも少しでも長く覚えていたいと心から思った。

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