hibi no awaI AM WILLING TO SHARE THESE KINDA BEAUTIFUL DAYS.

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36歳 7 years ago

開店の頃からお世話になっている方から、旅ベーグル5周年のお祝いにと「旅の本」をいただきました。それは現在でも第一線で活躍されている写真家が1976年に刊行した作品でした。この写真家は1940年生まれだから、この「旅の本」が世に出た時に彼は36歳だったということになります。ちょうど今年で36歳になる僕にとっては、そのこともなんだかうれしい驚きでした。

wikiで調べてみると、36歳の頃の彼はもうすでに写真界ではスーパースターであったようです。その数年前に彼の撮影スタイルは「激写」ということばを生み、社会現象となりました。当時、おそらく広告業界からも引っ張りだこであったのだろうと想像するのはこんな無知の僕でも簡単なことで、だからこそかもしれないけれど、そんな最中にいた彼がふらっと旅先で撮ったこの「旅の本」に収められてる日常的な写真の数々に、(世代は違うけど同い年としての)僕はどこか安心したのかもしれません。

この本を贈ってくださった方も言っていたけど、この「旅の本」の前書きの部分が素敵なのでご紹介させていただきます。この時すでに超有名人となっていた写真家の、それでも36歳らしい若くて青いことばがすとんと僕の心に入ってきます。素敵な贈り物、本当にありがとうございました。大切にします。今年、何度も開いて眺めると思います。

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旅と写真

ぼくが、テレビのコマーシャルで、写真なんてハッと感じたら、グッと寄って、バチバチ撮ればよい、といっているのは嘘ではない。
旅をするというのは、物事をみることである。その人独自の“め”が旅を面白いものにしたり、つまらないものにしたりする。
どんなに雄大な景観を前にしても、驚くべき事件に出っくわしても、その人の“め”が死んでいたら、ただ単に地理図鑑の挿絵や報道写真年鑑の一頁と同じになってしまう。
旅はそんなに自分を驚かせる風景や出来事の連続ばかりではない。むしろ、そんなことの間にある長い時間に、ふと出会った日常の出来事の方が、よほど旅を感じさせてくれる。
アスファルトを横切る黒い犬、海岸の若者の頭上を超低空でよぎるカモメ、偶然入った田舎町のレストランの娘、さし出されたビールの冷たさ・・・・。
旅はたとえ同じ旅程であっても百人百様、みな、その人々の感性によってちがったものを与えてくれる。
透んだ眼と優しい心をもって旅に出よう、そして、そこで感じたことのみんなを写真にとってしまおう。
いままでなにげなくみすごしていたテーブルの上のコーヒーカップが、ベンチの上の白い猫が、市街電車の車掌が、公園にいた少女の髪にさした赤い花が、なんと新鮮にみえることだろう。
もう一度言おう。写真なんて上手に撮ろうと思っちゃあいけない。心に感じたものを素直に受け止めて、シャッターを押せばよいのだ。この「写真集」は、そんな感じでミノルタXE・X1・ハイマチックを持っての旅の写真なのだ。

篠山紀信

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